

北大山岳部創立100周年記念事業実行委員会報告
(2024年総会にて報告)
北大山岳部創立100周年記念事業実行委員会
委員長 渡辺興亜
北大山岳部は1926(大正15)年の創立以来、2年後の2026年には100周年を迎えることから、一昨年の北大山の会総会において山の会として記念事業の実施を検討するため準備委員会が設置され、昨年の総会においては、準備委を発展的に解消して実行委員会を設立することが承認されました。 実行委員会では、準備委員会で提案された各事業について個別具体的に検討を行うために小委員会を設置し、昨年7月以降定期的に7回にわたり会議を開催して、記念事業実施に関しその考え方や内容、経費等について議論を重ねてきました。 実行委員会において現在とりまとめている事業案は以下のとおりです。この段階では、いずれの事業案についても日時や実施方法等について決定に至ったものではなく、今後、案の絞り込みや選択、一体化、実現の方途などについてさらに検討を進めていく必要があります。
1.記念式典(担当:浜名、沓沢)
(1)開催概要
名称:(仮称)北大山岳部創立100周年記念式典
日時:令和8年(2026年)7月上旬
会場:札幌市内のホテル 会費:10,000円
(2)今後の検討事項
- 開催内容と規模:
「式典」形式〜基調講演、来賓挨拶等を盛込み、200人〜250人規模。案内状、招待状の発送対象は、北大山岳部、山の会会員、北大山岳部ゆかりの人、主だった大学山岳部とそのOB・OG会、日本山岳会関係者、北大の山関連サークル、北大総長はじめ北大当局関係者、札幌市等自治体及びその関連団体など。
「祝賀会」形式〜挨拶者を最小限にとどめ、画像上映等で100人規模。案内状、招待状の発送は、上記対象者から絞り込む。
- 記念講演会の開催の可否:
開催の場合、講演のテーマ、講師、日程(式典と同一日か別日程か)等について検討。
- 所要経費:
上記会費収入によることを基本とし、講師謝金等別途に負担が必要な経費については今後算出する。
2.記念誌(担当:渡辺、白石、浜名、小泉、工藤、米山)
(1) 編集方針については、小委員会における検討がほぼ終了。2025年4月以降編集作業開始。札幌、東京、関西支部との緊密な連携を図るために編集委員会の構成を拡大。
- 山行クロニクル:全記録の収録、書式については検討中
- 本文:第1章〜第5章。(第2章まで予稿作成済み)
- コラム候補:部員章、北大スキー術、 山の四季、「AACH」の由来、イグルー/雪洞、雪上焚き火術、アイゼン・ピッケルの製作(項目、執筆者募集)
- AACHを創った人物像:加納一郎、坂本直行、伊藤秀五郎他(候補者は25名程度、執筆者は8割方決定済み、なお募集中)
- 特定記録(検討中):山岳部年表、例会記録、ルームノート、空沼小屋、ヘルヴェチア小屋記録、山の会記録 (総会記録、会報など)
- 再録すべき山行記録(初登記録、特別山行など、50年誌掲載分は含まず)
- 戦没者名簿:編集委員会で作成
- 遭難記録と遭難者名簿:編集員会で作成
(2)100周年記念誌
- 頁数:90周年記念誌「寒冷の系譜」とほぼ同規模〜10%増程度。
- 所要経費:座談会経費等編集作業関連支出を含め250万円程度。
(3)山岳部の「部報15号」の発行作業と密接に連携。(記念誌発行前に「15号」が上梓されることが望ましい)
3.山岳館機能強化(担当:山田、藤野、森田)
北大山岳館は建設から30年近く経ち、防災・防犯への懸念、書籍・資料の増加による狭隘化などの課題に直面している。100周年を機に、これら課題の解決を図りたい。特に書庫・資料庫の増設により、貴重書籍・資料のより安全な保管と旧閲覧室(談話室)とルーム前室の機能回復を目指す。
(1)防災・防犯対策
- 外壁:防火性能のある塗料を使い、外部からの延焼の防火性能を高める
- 屋根の雨漏れ対策
- 暖房器・温水器:既存の200V電流による蓄熱型暖房機など8器、温水器1器の点検強化に加え、必要な場合は機器を交換
- 防犯カメラ:2階ルーム、図書室にネットに接続された監視カメラの設置
- 所要経費:0〜300万円*施設所有者の北大に実施を要請
(2)書庫・資料庫建設<
- 概要:防火・防災、書籍・資料の保存に優れた新施設を建設。一案として量産型ユニットハウスを検討
- 日程:24年7月 総会で資料庫建設等の正式承認を経て、設計案の詳細を固め、北大と用地使用及び設備更新等の交渉開始
25年秋 着工
26年春〜夏 竣工、書籍・資料の収蔵 - 所要経費:新施設建設〜ハウス本体・輸送費・基礎工事・据付工事他 1,500万円
本棚・机・椅子・暖房機・照明など設備備品 500万円
(3)山岳館運営支援金
(4)山岳館実行小委員会の再編
上記の山岳館関連事業の実施は多方面に亘る実務を要すので、本事業の実施体制の整備を実行委員会に委ねる。
4.山行データベース(担当:志賀、沓沢)
(1)内容
北大山岳部創立100周年記念事業の一環として、100年分の山行記録を電子データ化し、山域、年代、人員などの属性に応じて必要な記録が検索でき、今後の山行も随時追加できる山行データベースを作成。
(2)方法
既往の北大山岳部部報及び部報14号以降の山岳部山行記録を、予め設定したデータベース用フォーマットにまとめる。創部前の記録などは必要に応じ各種記念誌等の記録を用いる。収録内容は山行記録のインデックスとして必要最小限の項目とし、部報14号の記載形式を基本とする。検索ソフトはGoogleスプレッドシートを活用。
(3) 部報15号発刊との連携
直近の部報14号発刊以来19年が経過し、新しい部報の山行記録の記載にも使用できるデータベースを作成することは、現役の部報発行の作業への大きな支援となることから、連携して取組を進める。
(4)現在の取組
- レコード件数:全期間で約7000件以内の見込み。
- データ入力:部報PDF版等を参照してExcel上のフォーマットにデータを入力。入力及びチェック作業は山の会会員のボランティアや現役部員のアルバイト等による。
- 6月末現在:現役の部報15号データを含め約4,000件を入力済み。
- 所要経費:50万円程度。
5.記念山行、遠征(担当:本多、福井)
(1) 事業実施にかかる考え方
「100周年」に相応しい、北大山岳部・山の会らしい、「記念山行」を企画。
(2)事業内容について
- 海外遠征も視野に入れながら、山の会会員からの「公募」の形をとり、山行のアイデアやメンバーを募集する。
- 意見集約
- 北大山岳部の山登りの源流は「日高」にあり、一つの案として日高で記念山行を企画する。
- 日高山脈は、2024年夏に国内最大の国立公園に指定されることから、これを機に、北大山岳部・山の会と、近隣の市町村、中札内村などとの連携を図る。(ワークショップ,記念講演会など)。
- 日高は歴代、多くの仲間が逝った山域でもあり(特に札内川)、山行とは別に追悼行事を企画。
- 記念山行に現役もメンバーとして加わることで、技術の習得や山の会会員との世代間の交流が図られ、100周年の企画として意義深い。
- 今後、総会を経て具体的な記念山行募集へと進める。
- 記念山行アイデア(参考例)
- ペテガリ夏冬シーズン全ルート再トレース、・幌尻岳集中、・日高温故知新 OBー現役 交流山行、
- 日高再発見 新たなお薦めルート開拓〜紹介、・これから(未来)の「岳人」へ高校山岳部との日高、
- 札内川の今〜昔(追悼)、・夏季 キムクシュ〜A, B, C, カールへ完全遡行、
- 夏季:新冠川から幌尻、神威、戸蔦別、・これからの山登り SDG’s、・全行程「ドローン撮影」記録、
- 地質・植生記録〜今後の保全上の留意すべき点の指摘(アカデミック)
6.記念写真集(担当:古川、渡辺、伏見、小泉、工藤)
(1)80周年記念写真集(2007年12月発行)
- 各時代のエポックメーキング的な山行を中心に、その時代の特徴を現わしている山行、海外遠征、合宿などを中心に編集、338枚の写真を掲載、CD3枚と写真集(108頁)で構成。
(2)100周年記念写真集(案)
- 100年間の会員の紹介を写真を通じて行い、同時に装備や服装、山登りの変遷が分かるような編集
- 創部後の新見温泉スキー合宿の集合写真以降、毎年の合宿の集合写真を中心に在席部員(最上級生中心)のスナップ写真(夏山、冬山、春山など)を掲載
- 100年分の合宿写真100枚、山の会会員700名弱の山行写真700枚、計800枚程度の掲載⇒CDとして8枚程度
(3)作業(案)
a.会員へのアルバムの提供依頼、各写真のキャプション、被写体人物の名前などを添付依頼
b.提供されたアルバムより写真のアーカイブ化
c.写真集のコンセプト、構成の確立
d.写真の選定
e.写真集の編集
f.前文、編集後記、などの依頼
(4) 要検討課題:所要経費・今後のスケジュール等
7.現役支援(担当:井上、石川、小野寺、杉山)
100周年記念事業として現役支援事業を立ち上げることとした。その内容については以下の通り。
?何事によらず相談・協議する体制
?必要とする金銭的支援のための体制
?その他
○現役支援の体制(案)
○引続き100周年記念事業として検討を続けていく。
8.北海道の山岳環境の維持保全への貢献(担当:岡島)
- 100周年に向けた事業の一つとして、北海道の山々を将来もその原始の姿をとどめて欲しいとの思いから、「北海道の山岳環境の維持保全」に取り組むことを提案。
- AACH単独で一から取り組むことは困難であり、例えば、大雪山のトイレ問題等既に活動をしている団体に協力する形でも良く、山岳部だけでなく全ての登山者にも役に立つことがAACHとして出来る。
- 日高山脈の国立公園指定に関連して中札内村から協力を求められた事例など、AACH独自の活動が展開できる場面もある。
- 100周年の晴れの日に何か環境維持活動が仕上がっているのではなく、100周年を機に議論を始められたら良いのではないか。
※他にヘルヴェチアヒュッテの修復・保全(防災施設の強化)計画が提案されている。
![]() 100周年記念事業準備委員会報告(2023) |