第11回北大山岳館講演会
山と美術と音楽と
2017年9月30日(土) 13:30~15:30
2017年9月30日(土) 13:30~15:30
要旨
- 「真・善・美・権」・・・人の世の四大価値。
- 山登りは美的行為。スポーツは「美」に属する人の活動。
- 今西錦司の登山分類:Rambling 遊山、Scrambling 探山、Rock climing 岩登
北大山岳部的な想い:ハイキング(夏道のある山一般)、沢登り、積雪期(ヒマラヤ・アルプス含む)、
ロッククライミング(Alpinism)
どの登り方にせよ、個人にとって未知を探る(探山)要素がある。
植物、昆虫、地形、地質、気象、天文・・・スポーツとしての山登りの裾野を拡げる「探」の行為。
- 「美」の実践・・・山と美術と音楽・・・出る杭を打つ日本人根性の嫉妬心との戦い。
- 博物学Natural-historyのフィールドとしての山。博物学の教養を持たない日本人一般は奇妙な民である。日本人は美の民。白人は真と権の民。自然美を探して形成要素に思いを廻らさない私達。
- 山を描いた画家。Ferdinand Hodler 1853-1918(スイス各地)・・・表現主義
Giovanni Segantini 1858-1899(サンモリッツ)・・・印象派の点描
- Ramblingとしての低山。時に沢登り、縦走・・・高齢でも可能な範囲が存在する。博物学を加える好奇心(認知症の予防薬)を持てば、丘陵といえども探山となる。Henry Hoekは、「どんな小さな 山々(Gebirge)といえども知り尽くしたと信ずるべきではない」と言った。
- 私は単独行が多く、探山に終始。札幌の山々、砥石山、百松沢山、迷沢山、手稲山、奥手稲山、樿山、春香山、朝里岳、余市岳、定山渓天狗岳、無意根山、空沼岳、狭薄山、札幌岳、漁岳、神威岳、烏帽子岳。休日ごとにハイキング。時々は常次沢、宮城沢、発寒川、木挽沢、白水沢の沢登り。二週ごとに野の花が交替する。積雪期はスキーで一つの山を種々のルートから登る。全手動のカメラに35mmフイルムと18-80mmの標準ズーム。昆虫を観察し茸学を勉強する。野の花の名前を数百種覚えるのは一大困難事!!
- 往昔の北大山岳部にはドイツ教養主義の伝統があった(敗戦と英米文化によって、大学の大衆化によって喪われた)。ドイツの山の歌と数々の民謡を覚え、シューベルトの幾つかの歌曲、英米ドイツ・フランスの文学、喫茶店に入り浸ってのクラシック音楽をモノのLPレコードで聴く。これが山岳部の文化であった。山の焚き火の夜、常に歌があった。
- 山へ持ち運べる唯一の楽器・リコーダー(ハーモニカは壊れる、フルートは精密機械)。
- リコーダーは2オクターヴの音域。ソプラニーノF管(ピッコロ相当)、ソプラノC管、アルトF管(標準)、テノールC管、バスF管、コントラバスC管で1セット。Bach、Handel、Telemann、Vivaldi のバロック音楽時代までの合奏・独奏曲に使われた。
ソプラニーノとソプラノは袋を作って腰に下げる。熊は高音を嫌うので山用に最適。時々鳴らす。
- 楽器は90%、いや95%(札響クラブでの管楽器奏者の何人もが言った)が練習。
- 絵画は90%が天分。才能ある者が美校で教育を受けて画家彫刻家になれる。
- 楽才の無い私Rota(ロタ:北大山岳部時代のあだ名)は、音楽を聴く道具を作る方に走った。
- 低周波眞藜妥拜幅器Low Frequency High Fidelity Amplifierの製作と設計、及び眞藜妥抒叛軸錙High Fidelity Speaker Systemの製作と設計。
- 手仕事人なので家具から車庫・物置まので木工、山道具の縫製。
■講師紹介
- 北大山の会会員・精神科医 佐々木幸雄
略歴
- 1936年 東京都国分寺町に生まれる
- 1955年 北海道大学医学部進学課程教養部入学
- 1958年 札幌医科大学医学部医学科転入学
- 1963年 札幌医科大学神経精神医学教室所属
- 1968年~1996年 三笠市立病院勤務
- 1996年~2004年 島松病院(恵庭市)勤務
- 2004年~現在 札幌市内特養老人ホームで非常勤医として勤務
趣味
- 登山。絵画・木版・木彫刻。リコーダーとフラウト・トラヴェルソ練習。オーディオ装置の製作と設計。
- 木工一般。写真。昆虫採集。天体観望。宇宙誌。人類史。博物学Natural-history。クラシック音楽鑑賞。
- 老齢で断念した趣味・・・オートバイ歴約50年、銃猟歴28年。
■会場・問い合わせ先等
- 会場:北大山岳館 札幌市北区北18条西13丁目(北大構内北西隅、北大恵迪寮東側)
- 定員60名(予約無し,無料)
問合せ先:北大山岳館運営委員会 携帯090-6870-5120
Facebook: https://www.facebook.com/hokudaisangakukan
E-mail:sangakukan@aach.ees.hokudai.ac.jp
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