OBの山行記録・ 2007年5月3日 (木)
ニペソツ東壁(3-0)/米山
本峰リッジは雪稜の雪の状態が悪く途中から引き返し、デルタルンゼからデルタに上がり、烈風のなか山頂をアタックした。天気は良かったが雪質がなんとも!でも無人の樹林帯で贅沢な時間を過ごした。
【ルート】
幌加音更川林道からニペソツ東壁アタック。
【メンバ】
米山悟(84)、斉藤清克(86)
【行 程】
4月28日:糠平→幌加音更川林道車デポ(二ノ沢まで)(12:10)→盤の沢川右岸→幌加川へのっこし→三ツ股標高890泊C1(16:40)
4月29日:C1(5:40)→右股右岸→東壁基部標高1750m(9:40)シーデポ→本峰リッジ引き返し(11:11)→シーデポ(11:40)→デルタルンゼ→デルタコル(12:40)→ニペソツ山頂(13:10)→デルタコル→シーデポ(14:10-40)→C1(16:10)=C2
4月30日:C2(8:50)→林道車デポ(12:10)→幌加温泉→上川
幌加音更川は、ニペ、丸山、ウペペからの水を集めて音更川に注ぐ大支流で、五万図に手のひらいっぱい延ばした大きさの集水域がある。この盆地で三日間一切人の痕跡無く、エゾシカ10頭ほどに会ったのみだ。東面は15年ほど前斎藤が偵察していて、詳細なスケッチを残していた。
林道は大いに延びていて、三の沢の支流、盤の沢右岸から目指す幌加川へは緩い尾根を乗っ越している。尾根は緩く、地図にないブル道がたくさんあり、タンネも密ではないので基本的にどこを乗っ越しても苦労しない。幌加川の沢底はまだ雪が多く、スノーブリッジも繋がっていた。三ツ股のすぐ下の、タンネの中でC1。立ち枯れ、倒木が多く、焚き火に困らない。
この東面は戦前の部報でニペソツやウペペサンケの初登頂時代の記録に多く出る。豊かな針葉樹林を求めて林道と造材飯場が年ごとに奥へ伸び、そのすぐ先には無垢の天然林が拡がっていた様が書かれていた。今は静かなものだ。
朝は4時には明るい。700グラムの小さい寝袋なので、寒くて寝ていられず早起きした。登攀具一式を担いで基部へ。ブル道が右股の左岸から右岸に渡り、延びていた。タンネの梢越しに東壁が見え始めた。この時期なのに雪が多い。下段の雪稜を超え、中断の岩壁帯を抜けられれば上段の雪稜はなんとかなりそうだ。雪は重く、少し沈む。季節はずれの降雪が先週有り、少雪暖冬の最後にまたパターンを崩した。本峰リッジの基部まで結構な傾斜なのにシールが効いて登れた。もう山頂までの標高差は300mを切っている。
リッジに取り付くと、雪はタップリなのにグサグサの雪。傾斜がほとんど垂直近いハシゴ登りのようなリッジなのに掘るとハイマツとすかすかの雪で、足場が全然定まらない。雪稜を標高差100m登った所で、状態悪しと引き返す。懸垂のピンがとれそうなのはここら辺までだ。懸垂はダブルで二回半。
このままスゴスゴ帰ってはかみさんにあわせる顔も無いので、下降ルートに考えていたデルタルンゼを登る。既にシーデポ中から、左右の小ルンゼから雪崩の雪流がジャージャー流れていた。しかしデルタルンゼ本流の一番上に雪庇は無く、サイドには大きなルンゼが数本あったのでそこを横切るときに注意するようにして登る。傾斜はちょうど前穂高・岳沢の明神ルンゼくらい。ステップはほどよく決まる堅さだ。
稜線に上がると凄い風だ。十勝、トムラウシ、石狩岳と久しぶりに対面。天気は晴れだが遠くはかすんでいる。「デルタ」は直上する。上部は風でカキンカキンに凍っていて、ここで、持参のアックスがオレの出番だと泣いて喜ぶ。でも下りは怖くてセミになりそう。山頂は風が凄く、しゃがみ込んで待っていたが埒があかずすぐ下山。巨大雪庇が怖くて東壁はのぞき込めない。デルタは捲きルートからもどる。視界が無ければ苦労するところだ。デルタルンゼから東面に戻る。シリセードには傾斜がきつく、ときどき止まらず泡を吹く。横から見ると本峰リッジの傾斜が凄く、やはりタイヘンそうにも見えた。
シーデポからの下りはなかなかの大斜面だ。格好良く滑りたかったが、雪質がモナカで最悪。ターンをかけるだけの筋力が残っておらず、地道に斜滑降で下った。それでも素晴らしい景観にして広さのある斜面だった。下部、天場までのタンネ帯も、気持ちの良いところ。どこで泊まっても良さそうだ。中股を下ると滝に出るので、右股を下るのが良い。
アルパインな景観のなかで遊んで、山頂も踏んだので、満足して炎を眺める。満月が登って針葉樹林の影を雪原に揺らした。翌朝も遅くまで煙を見ながら過ごし、温泉目指して下山。とはいえ最高の快晴で、尾根越えの所で1時間以上寝転がって山を見て、ウグイスの声を聞いていた。下山は幌加温泉。小さな一件屋で露天も凄いところにあって良い。上川でラーメンを食べて、旭川へ。ここで家族と合流して、翌日は旭山動物園でシロクマちゃん見学をする段取りなのである。
林道は大いに延びていて、三の沢の支流、盤の沢右岸から目指す幌加川へは緩い尾根を乗っ越している。尾根は緩く、地図にないブル道がたくさんあり、タンネも密ではないので基本的にどこを乗っ越しても苦労しない。幌加川の沢底はまだ雪が多く、スノーブリッジも繋がっていた。三ツ股のすぐ下の、タンネの中でC1。立ち枯れ、倒木が多く、焚き火に困らない。
この東面は戦前の部報でニペソツやウペペサンケの初登頂時代の記録に多く出る。豊かな針葉樹林を求めて林道と造材飯場が年ごとに奥へ伸び、そのすぐ先には無垢の天然林が拡がっていた様が書かれていた。今は静かなものだ。
朝は4時には明るい。700グラムの小さい寝袋なので、寒くて寝ていられず早起きした。登攀具一式を担いで基部へ。ブル道が右股の左岸から右岸に渡り、延びていた。タンネの梢越しに東壁が見え始めた。この時期なのに雪が多い。下段の雪稜を超え、中断の岩壁帯を抜けられれば上段の雪稜はなんとかなりそうだ。雪は重く、少し沈む。季節はずれの降雪が先週有り、少雪暖冬の最後にまたパターンを崩した。本峰リッジの基部まで結構な傾斜なのにシールが効いて登れた。もう山頂までの標高差は300mを切っている。
リッジに取り付くと、雪はタップリなのにグサグサの雪。傾斜がほとんど垂直近いハシゴ登りのようなリッジなのに掘るとハイマツとすかすかの雪で、足場が全然定まらない。雪稜を標高差100m登った所で、状態悪しと引き返す。懸垂のピンがとれそうなのはここら辺までだ。懸垂はダブルで二回半。
このままスゴスゴ帰ってはかみさんにあわせる顔も無いので、下降ルートに考えていたデルタルンゼを登る。既にシーデポ中から、左右の小ルンゼから雪崩の雪流がジャージャー流れていた。しかしデルタルンゼ本流の一番上に雪庇は無く、サイドには大きなルンゼが数本あったのでそこを横切るときに注意するようにして登る。傾斜はちょうど前穂高・岳沢の明神ルンゼくらい。ステップはほどよく決まる堅さだ。
稜線に上がると凄い風だ。十勝、トムラウシ、石狩岳と久しぶりに対面。天気は晴れだが遠くはかすんでいる。「デルタ」は直上する。上部は風でカキンカキンに凍っていて、ここで、持参のアックスがオレの出番だと泣いて喜ぶ。でも下りは怖くてセミになりそう。山頂は風が凄く、しゃがみ込んで待っていたが埒があかずすぐ下山。巨大雪庇が怖くて東壁はのぞき込めない。デルタは捲きルートからもどる。視界が無ければ苦労するところだ。デルタルンゼから東面に戻る。シリセードには傾斜がきつく、ときどき止まらず泡を吹く。横から見ると本峰リッジの傾斜が凄く、やはりタイヘンそうにも見えた。
シーデポからの下りはなかなかの大斜面だ。格好良く滑りたかったが、雪質がモナカで最悪。ターンをかけるだけの筋力が残っておらず、地道に斜滑降で下った。それでも素晴らしい景観にして広さのある斜面だった。下部、天場までのタンネ帯も、気持ちの良いところ。どこで泊まっても良さそうだ。中股を下ると滝に出るので、右股を下るのが良い。
アルパインな景観のなかで遊んで、山頂も踏んだので、満足して炎を眺める。満月が登って針葉樹林の影を雪原に揺らした。翌朝も遅くまで煙を見ながら過ごし、温泉目指して下山。とはいえ最高の快晴で、尾根越えの所で1時間以上寝転がって山を見て、ウグイスの声を聞いていた。下山は幌加温泉。小さな一件屋で露天も凄いところにあって良い。上川でラーメンを食べて、旭川へ。ここで家族と合流して、翌日は旭山動物園でシロクマちゃん見学をする段取りなのである。
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