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山の会昔語り・ 2006年7月12日 (水)

山の会裏ばなしー(13)
あれは何という山
                        北大山の会東京支部・木村俊郎(1950年入部)
 もし山岳部にルームが無かったら、在学中の短い期間に道内の山を広く知る事は出来なかったであろう。
 ルームにたむろしていた或る日、先輩がひょんなことから言っていた。先輩の先輩が北の果て斜里まで行ったのに目的の山がなかなか見つからなくて往生したという話だった。
 目的の山は地形図に「海別岳」と記載された山だったそうである。知床半島のつけ根、国境線で回りには目立つ山もなく斜里からも余り離れていないので、すぐ分かると思ったそうである。駅で降りて、近くの人に
 「カイベツ岳はどれですか」
 と尋ねたが誰も知らなかった。
かなり、うろうろして途方にくれていると、前方に夕日を浴びて一際高い山が聳えていた。近くで遊んでいた漁師の子に
 「あの山は何と言うの」と聞いたところ
 「ウナベツ」と答えたそうである。
 目標の山はカイベツ岳でなくウナベツ岳だったのだ。
 北海道の山の名はアイヌ語に由来するものが多い。それを漢字の当て字にするので、地形図でトッタベツを戸蔦別と記しているのでトツタベツと呼ぶ人がいる。先日も、駅で会った人が、
 「百名山を登っている。先月北海道のホロシリに登ってきた」と言っていた。カイベツ岳はともかく、幌尻岳はポロシリでないと、なんとも締まらない。
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